新築に住む前は、
図面やモデルハウスで何度も“間取り”を確認します。
そこには家具の位置や動線、収納や窓の位置まで
一通りの暮らしが想像されています。
けれど、実際に暮らしてみると
間取りは少しずつ変わっていきます。
それは失敗や後悔というよりも、
暮らしの習慣が家を選んでいく現象に近いと思います。
暮らしが“間取りを採点する”瞬間
間取りは引き渡しの時点では完成品ですが、
暮らしが始まると採点される側に回ります。
- 朝の動線
- 夜のくつろぎ
- 食事前後のバタつき
- 洗濯や乾燥の手間
- 掃除の頻度
- 収納の定位置
- 平日と休日の違い
- 季節で変わる居場所
図面上では想像できても、
暮らしの中で体験するのは違います。
暮らしは想像より具体的で、
家は想像より抽象です。
動線は“生活習慣”で決まる
間取りは動線のためにありますが、
動線は習慣のためにあります。
例えば、
- 洗濯物はどこで畳むのか
- ゴミの一時置きはどこか
- 料理と片付けは同時か交互か
- 子どもやペットの動線はどこか
- 朝のピークはどの場所に重なるか
こうした小さな習慣が
動線を静かに決めていきます。
設計で想像した動線と、
暮らしが選んだ動線は
必ずしも一致しません。
間取りは“時間”でも変わる
間取りは面積ではなく
時間とも関係があります。
時間が変わると間取りも変わります。
- 朝と夜
- 平日と休日
- 夏と冬
- 雨の日と晴れの日
同じ家でも
“家としての役割”が変わります。
例えば冬は暖かい部屋が中心になり、
夏は風が抜ける場所に人が集まります。
暮らしは年中一定ではないので、
間取りも年中一定ではありません。
間取りは“年齢”でも変わる
入居したときの年齢と、
その10年後、20年後では
暮らしの優先順位が変わっていきます。
- 子どもが生まれる
- 子どもが巣立つ
- 仕事が変わる
- 介護が始まる
- 老後が見える
同じ空間でも
使い方が変われば
間取りも変わります。
家具が更新されると間取りも更新される
間取りは家具に支配されます。
入居後に家具を買い足すと
家の居場所が変わることがあります。
家具は生活の変化に合わせて更新されるので、
間取りもまた更新されていきます。
間取りは“暮らしとともに変わる”もの
間取りは完成された図面ではなく、
暮らしの中で解釈される設計図です。
暮らしがあって間取りがあり、
間取りがあって暮らしがあります。
まとめ
新築は立ち上がりの時点で
間取りが決まったように見えます。
けれど暮らしが始まると
間取りは静かに変わり始めます。
間取りは面積ではなく、
時間と習慣と家具と年齢で決まる
“生活の器”なのだと思います。